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LPS植物試験

イネの白葉枯病に対する抵抗性の増強(遺伝子発現)

以前の研究により(研究レポートNo.22、23)、LPS素材がイネの白葉枯病の感染抵抗性を増強することが明らかとなりました。その研究において、LPS処理6時間後に白葉枯病抵抗性が付与されていたことから、処理6時間後にはイネの防御反応が引き起こされていると推察されました。

そこでどのような防御反応が引き起こされているのか遺伝子レベルで解明するため、LPS処理によるイネの遺伝子発現応答を、4万4千個の遺伝子を用いた網羅的遺伝子解析により検証しました。

図1 LPSによって誘導される遺伝子の分類

図1 LPSによって誘導される遺伝子の分類

その結果、2倍以上発現誘導された遺伝子数は145個であり、その内およそ16%にあたる23個の遺伝子が既知の防御関連遺伝子でした (図1)。

誘導された防御関連遺伝子に着目すると、真菌類の細胞壁の主成分を加水分解するキチナーゼの他、抗菌性タンパク質として知られているオスモチン様タンパク質やソーマチン様タンパク質など、植物の抵抗性に重要な役割を果たす遺伝子の誘導が認められました (表1)。LPSによって誘導される防御関連遺伝子の中で最も特徴的だったのが、多数のWRKY遺伝子の誘導でした。

WRKYは植物の病害抵抗性を誘導する転写因子として同定され、モデル植物であるシロイヌナズナやイネにおいて、WRKY遺伝子の過剰発現体は病害抵抗性を強化するということが多数報告されています (Eulgem and Somssich, 2007)。LPSによって誘導されるWRKY遺伝子の中で、WRKY53 (AK121190)はすでに多数の防御関連遺伝子を誘導する転写因子として同定されており、WRKY53の過剰発現体はいもち病菌に耐性となることが報告されています(Chujo et al., 2007)。

以上のようにマイクロアレイ解析の結果から、LPSはイネの防御関連遺伝子群の発現を誘導し、白葉枯病菌に対する抵抗性を付与していることが示唆されました。

表1. LPSによって誘導される防御関連遺伝子の一例

Accession Fold change Annotation
AB045120
AK099064
4.47
4.12
Elicitor responsive protein EL5
Lipolytic enzyme, G-D-S-L family protein.
AK107142 3.34 Isopenicillin N synthase family protein.
AK107989 3.32 Pathogenesis-related transcriptional factor and ERF domain containing protein.
AK060655 3.31 Osmotin-like protein precursor.
AK062972 3.22 Low molecular mass early light-inducible protein HV90
Z29962 2.56 Endochitinase precursor (EC 3.2.1.14).
AK062422 2.52 CBF-like protein.
CI190270 2.32 CRT/DRE binding factor 1.
AK067875 2.28 Multi antimicrobial extrusion protein MatE family protein.
AK111681 2.12 Avr9/Cf-9 rapidly elicited protein 231.
AY166833 2.11 CBF-like protein.
AY676929 2.09 WRKY transcription factor 53 (Transcription factor WRKY12).
AK119644 2.09 WRKY transcription factor 28.
AK110798 2.08 Glutelin family protein.
CI137713 2.08 Viral coat and capsid protein family protein.
CI439125 2.05 Thaumatin, pathogenesis-related family protein.
AF435645 2.00 CSLF6 (Fragment).

<参考文献> Chujo T, et al (2007) Involvement of the elicitor-induced gene OsWRKY53 in the expression of defenserelated genes in rice. Biochim Biophys Acta 1769: 497–505

Eulgem T, Somssich IE (2007) Networks of WRKY transcription factors in defense signaling. Curr Opin Plant Biol 10: 366–371

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