LPSヒト経皮投与試験
現在のスキンケア領域における一つの課題は、「敏感肌」すなわち、化粧品使用時に「ヒリヒリ」する、「かゆみを感じる」などの感覚を持つ人が増えていることです。「敏感肌」には多様なタイプがありますが、一つの要因として、皮膚のバリア機能の低下があげられます。
ヒトケラチノサイト細胞株HaCaTを使った実験により、LPSが、過剰な炎症を起こすことなくフィラグリンなどによる角質層バリアと顆粒層でのタイトジャンクションバリアの二つのバリア機能を高め、敏感肌を改善させる可能性が示唆されています(研究レポート:ケラチノサイトのバリア機能)。
そこでここでは、敏感肌の方がLPS配合ローションを使用した場合の改善効果について調べました。
20歳以上60歳未満の日本人健常成人女性で、敏感肌の自覚がある11人に、1日2回、洗顔後にLPSpv(Pantoea vagans由来LPS)配合ローション(LPS濃度:2μg/mL)を使用してもらいました。使用開始前、使用開始1週間後、2週間後、4週間後に、5.0%乳酸スティンギング試験を行ないました。刺激スコアは下記のとおりです。
3:激しい刺激を感じる、
2:刺激を感じる、
1:刺激感を少し感じる、
0:全く感じない。
スティンギング試験の結果、LPSpvローションの使用により、刺激スコアが統計的に有意に改善されました。尚、試験期間中、途中脱落者はありませんでした。このことから、LPSpvローションの使用が、肌の刺激感覚を和らげることが示されました。
図1 スティンギングスコアの推移
n=11、データは平均値と標準偏差(SD)を示す。統計解析はWilcoxonの符号付順位検定で行った。**:P<0.01 、*:P<0.05
(株)協和.調べ
皮膚の刺激感が和らいだことは、バリア機能が高まっていることを示唆しており、角質水分量の増加や、水分の蒸散量抑制も期待できます。そこで、次に、LPSpvローションの使用開始前、使用開始2週間後、4週間後に、右頬目尻と小鼻下の交点で、角質水分量及び経皮水分蒸散量(TEWL)の測定を行ないました。
その結果、LPSpvローションの使用により、角質水分量は有意に増加し、経皮水分蒸散量(TEWL)は有意な減少することが示されました。このことから、LPSpvローションが、皮膚の保湿力を高めることが示されました。
図2 皮膚保湿性の変化
(A)角質水分量、(B)経皮水分蒸散量。n=11、データは平均値と標準偏差(SD)を示す。統計解析はt検定で行った。**:P<0.01
以上の結果は、(株)協和、慶應義塾大学、自然免疫応用技研(株)の共同研究として、2020年開催のIFSCC(国際化粧品技術者会連盟)大会で発表されました。
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