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LPS細胞実験

線維芽細胞の増殖促進効果

体のあらゆる組織に分布するマクロファージは、感染防御のみならず、創傷治癒、代謝促進、新陳代謝促進に働いています。皮膚の中にもマクロファージ様のランゲルハンス細胞が存在しており、環境ストレスから皮膚を守り、新陳代謝の促進に寄与しています。

そこで、本試験では、マクロファージを活性化するLPS(パントエア菌由来;IP-PA1)が、皮膚の新陳代謝を促進する効果があるかどうかを調べるため、まず、線維芽細胞の増殖促進効果を調べました。

図1にその結果を示します。IP-PA1を直接ヒト正常線維芽細胞(NB1RGB)に加えても、増殖は促進されません。しかし、IP-PA1をヒトマクロファージ細胞(THP-1)に加え、その培養液を線維芽細胞に加えることで、線維芽細胞の増殖速度が顕著に高まることが示されました。

図1 LPSによるマクロファージの活性化を介した線維芽細胞の増殖促進効果

図1

NB1RGB(ヒト正常線維芽細胞)に0.5%FBS、または5%FBS、またはIP-PA1(1μg/ml)、またはTHP-1(ヒトマクロファージ細胞)の培養上澄、またはTHP-1をIP-PA1(1μg/ml)で刺激した時の培養上澄を加え、増殖速度を調べた。

図2では、IP-PA1がマクロファージ細胞から線維芽細胞増殖因子FGF2を有意に誘導することが示されています。このことから、LPSは、マクロファージを活性化し、活性化マクロファージから分泌される増殖因子が線維芽細胞の増殖を促進することが示唆されます。

図2 LPSによるマクロファージからのFGF2の誘導

図2

THP-1(ヒトマクロファージ細胞)にIP-PA1(100ng/ml)を加え、4時間後にTHP-1細胞からRNAを抽出し、cDNA化し、リアルタイムPCRにて、遺伝子発現量を調べた。

そこで、続いて、ヒトの皮膚での代謝促進効果があるかどうかを調べました。この試験では、ダンシルクロライドというアミノ酸に結合する蛍光物質で、左右の両下腕の内側皮膚を染色し、染色部分を、一方は市販の化粧水で、もう片方は、市販の化粧水にLPS素材(パントエア菌LPS;IP-PA1含有)を配合したもので朝晩パッティングしてもらい、蛍光物質が消失するまでの速さを比べました。ダンシルクロライドは、暗室内のUVライトの下で写真撮影を行なっています。試験は20代~50代の5人の男女がブラインドで行い、いずれもLPS配合化粧水でパッティングしたほうが、早くダンシルクロライドが消失するという結果を得ました。このことから、LPS素材は、実際にヒトの皮膚の代謝促進効果を持つことが示唆されます。

図3 LPS素材による健常肌の新陳代謝促進効果

図3

ダンシルクロライド(蛍光物質)を塗布した絆創膏を24時間、両下腕内側に貼り付けた。 化粧水をコットンに含ませ、朝晩なじませるように肌に塗布した。(A(写真左側):市販のふき取り化粧水+LPS素材(IP-PA1; 1μg/ml)、B(写真右側):市販のふき取り化粧水)。UV照射化で写真撮影を行った。

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