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LPS細胞実験

ケラチノサイトのオートファジーによるメラノソーム分解の促進

オートファジーとは、細胞の中で、不要なたんぱく質や構造体を分解してリサイクルする作用です(*1)。細胞が飢餓状態に陥ったときに現れる現象として知られていますが、飢餓状態でなくても起こります。例えば、皮膚の表皮を形成しているケラチノサイト細胞は、下層から上層に向かって、基底層、有棘層、顆粒層、角質層と徐々に形態を変えていきますが(これを分化といいます)、この形態変化はケラチノサイトのオートファジーによることがわかっています(*2)。ケラチノサイトが形態を変えないと表皮の新陳代謝、すなわちターンオーバーが進まないため、オートファジーはターンオーバーの促進にも係わっています。

図1:オートファジーはターンオーバーに必須

LPSで刺激したマクロファージから分泌される因子が線維芽細胞の増殖・ヒアルロン酸合成を高める

さて、LPSはケラチノサイトのオートファジーを促進します(*3)。このことから、LPSが表皮細胞のターンオーバーを促進する作用があることが推察できます。

図2:LPSによるオートファジーの促進

LPSで刺激したマクロファージから分泌される因子が線維芽細胞の増殖・ヒアルロン酸合成を高める ケラチノサイト(HaCaT)を、無処理(左)、または、LPS(Porphyromonas gingivalis 由来、10μg/ml)で24時間処理して(右)、細胞の核とオートファジーマーカーであるLC3に対するそれぞれの蛍光抗体で染めた結果。
LPSで処理することにより、オートファジーが起こっていることがわかる。
青の蛍光:核、緑の蛍光:LC3

写真は、BMC Cell Biology 19:18 (2018)から抜粋

ところで、ケラチノサイトにおけるオートファジーは、形態変化だけではなく、メラニン分解にも関係し、皮膚の色の決定に係ることが報告されています(*4)。

メラニンは、表皮の下方にいるメラノサイト細胞で作られたのち、メラノソームという塊になってメラノサイトから吐き出されます。吐き出されたメラノサイトが、表皮と真皮の間にたまってしまうと、なかなか取れないシミになりますが、多くは、周りのケラチノサイトに取り込まれます(図3)。メラノソームを取り込んだケラチノサイトは、オートファジーによって分化しつつ表皮の上方に移動しますが、同時にオートファジーによって細胞内に抱え込んだメラノサイトが分解されます(*5)。

図3:メラノサイトからケラチノサイトへのメラノソームの受け渡し

LPSで刺激したマクロファージから分泌される因子が線維芽細胞のヒアルロン酸合成を高める

そこで今回、ケラチノサイトのオートファジーを促進するLPSが、ケラチノサイトのメラノソーム/メラニン分解を促進するかどうかを調べました。

本実験では、HaCaT(ヒトケラチノサイト細胞株)を96穴に播種し、細胞がコンフルエントになってから、B16メラノーマ細胞株から調製したメラノソームを毎日培地交換とともに添加しました。4日後にLPSp(パントエア・アグロメランス由来LPS、0.1μg/ml)を添加し、その72時間後、細胞のメラニン色素を位相差顕微鏡で撮影しました。

その結果、LPSpを添加した細胞ではメラニン色素が薄いことがわかりました(図4)。LPSpの効果は、オートファジー阻害剤である3-メチルアデニン(3MA)の添加によってキャンセルされることから、LPSpがオートファジーを促進することでメラノソーム/メラニン分解を促していることがわかります。

図4:LPSは、ケラチノサイトのオートファジーによるメラノソーム分解を促進する

LPSで刺激したマクロファージから分泌される因子が線維芽細胞のヒアルロン酸合成を高める

同様の実験をLPSpの濃度を変えて行ない、細胞をDMSOで溶解した後、メラニン色素を490nmの吸光度で測定した結果、メラニンの分解は、LPSp濃度依存性であることが確認されました(図5)。 ※本実験は、立命館大学・薬学部の藤田隆司先生によって行われました。

図5:LPSによる濃度依存的なケラチノサイト内メラノソーム分解

LPSで刺激したマクロファージから分泌される因子が線維芽細胞のヒアルロン酸合成を高める

LPSpは、表皮に塗布した場合、深く基底層まで浸透することはないため、本結果をもって、LPSpが美白作用を持つことを意味するわけではありません。しかし、LPSpは表皮の浅いところでケラチノサイトに作用し、くすみをとることに効果を持つのではないかと考えられます。

(*1)Development by self-digestion: molecular mechanisms and biological functions of autophagy. Dev.Cell 6, 463–477 (2004).
(*2)オートファジー関連分子による皮膚上皮細胞の分化調節・形態維持日本香粧品学会誌、Vol. 39, No. 3, pp. 192–195 (2015)
(*3)Lipopolysaccharide induces bacterial autophagy in epithelial keratinocytes of the gingival sulcus, BMC Cell Biology 19:18 (2018)
(*4)Autophagy Has a Significant Role in Determining Skin Color by Regulating Melanosome Degradation in Keratinocytes, Journal of Investigative Dermatology, 133: 2416–2424 (2013)
(*5)Melanosomes Are Transferred from Melanocytes to Keratinocytes through the Processes of Packaging, Release, Uptake, and Dispersion, Journal of Investigative Dermatology, 132, 1222–1229 (2012)

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