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LPS動物経口投与試験

抗がん剤との併用により延命効果(マウス)

癌の化学療法は患者の免疫力を低下させます。これは、化学療法剤が、癌細胞のみならず、正常な免疫担当細胞の細胞死をも誘導することがひとつの原因です。従って、癌の化学療法の際に、免疫細胞の活性や生存率を維持できる方法があれば、癌治療において極めて有用性が高いと考えられます。 本レポートでは、in vitroにおいて、LPS(パントエア菌由来;IP-PA1)が、化学療法剤によるマクロファージ細胞のアポトーシス(細胞死)を抑制すること、及び、in vivoで、メラノーマ担癌マウスに化学療法(Doxorubicin)を行う際に、LPSの経口投与を併用することで、生存率が有意に伸びることを示します。

図1 化学療法剤処理後の細胞死数

図1 化学療法剤処理後の細胞死数

RAW264(マウスマクロファージ細胞)を、0、10、50、100ng/mlのIP-PA1で1時間処理したのち、5μMのDoxorubicinで24時間処理。アポトーシスした細胞を、Annexin-Vで染色しFACS解析した。

図1に示すように、免疫に重要な働きをするマクロファージ細胞は、化学療法剤であるDoxorubicin処理で細胞死を起こします。しかし、IP-PA1を培地に10~100ng/mlで加えておくことにより、細胞死が有意に減少することがわかります。

この効果は、実際に生体の癌治療における延命につながるでしょうか。図2に示すように、マウスにメラノーマ細胞を移植すると、何の治療もしない場合、生存率がゼロとなる日数は20数日です。化学療法剤であるDoxorubicinを投与した場合には、少し伸び、50数日となります。これに対し、IP-PA1を、経口投与することで、60日たった時点でも生存率60%となっており、延命効果に繋がっていることがわかります。

尚、本実験で投与されている、IP-PA1の量は健康食品で使われる量の50倍で、図3に示すように、マウスでは血液中のIL-12やIFN-γの上昇、NK細胞数の増加、T細胞のポピュレーションの変化が見られます。従って、化学療法剤と併用した場合のIP-PA1の延命効果はマクロファージ細胞の細胞死抑制だけでなく、サイトカインの誘導による自然免疫の活性化も関与していると思われます。

図2 メラノーマ移植後のマウス生存率

図2 メラノーマ移植後のマウス生存率

C57BL/6NCrSlcマウスに2x105のB16メラノーマ細胞を腹腔内に投与し、IP-PA1(経口0.5mg/kg)とdoxorubicin(0.1mg/kg)を投与しつつ60日まで生存率を観察した。

図3 IP-PA1経口投与の免疫系に及ぼす影響

図3 IP-PA1経口投与の免疫系に及ぼす影響

C57BL/6NCrSlcマウスにB16メラノーマ細胞を腹腔内投与し、8日間Doxorubicin(0.1mg/kg/day)とIP-PA1(経口0.5mg/kg/day)を投与した。最終投与の24時間後に血液を採取し血液中のIFN-γとIL-12をELISAで測定した。また最終投与の24時間後に脾臓を摘出し、NK細胞、CD4+細胞、CD8+細胞をFACS解析した。*: P<0.05

Protective Effects of the Immunopotentiator from Pantoea aggromerans 1 on Chemotherapeutic Agent-Inducued Macrophage Growth Inhibition Takehisa Hebishima, Yasunobu Matsumoto, Gen Watanabe, Gen-Ichiro Soma, Chie Kohchi, Kazuyoshi Taya, Yoshihiro Hayashi, And Yoshikazu Hirota., Anticancer Res.30 (6): 2033-2040(2010)

Oral Administration of Immunopotentiator from Pantoea agglomerans 1 (IP-PA1) Improves the Survival of B16 Melanoma-inoculated Model Mice Takehisa Hebishima, Yasunobu Matsumoto, Gen Watanabe, Gen-Ichiro Soma, Chie Kohchi, Kazuyoshi Taya, Yoshihiro Hayashi, and Yoshikazu Hirota, Experimental Animals. 60 (2):101-109(2011)

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