自然免疫応用技研株式会社

ひげ博士の最新免疫学講座

かげ

第59回

マクロファージと圧力の話
(2022年6月 No.59より)

皆さん、ひげ博士じゃ。2021年ノーベル生理学・医学賞に「温度と触覚の受容体の発見」が選ばれたことはご存知じゃな。例えば、マッサージを受けて温かみと触れられたことを感じとれるのは、細胞にある温度と圧力(機械的刺激)のセンサーがあるからじゃ。それらはイオンチャネル型受容体(情報を受け取ると構造が変化して特定のイオンが通り抜けるタイプ)で、温度の受容体はTransient Receptor Potential(TRP)チャンネル、触覚(圧力)の受容体はPiezo(ピエゾ)と呼ばれておる。細胞では圧力をピエゾが感知すると細胞の運動を誘導するなどいろいろな運動機能に関わっているのじゃ。

さて、マクロファージには温度受容体の一つ(TRPM2)を持っていることは以前ご紹介したが(LSINニュースレターNo21)、圧力受容体のピエゾ1も持っておるぞ。そして、ピエゾ1はLPSの刺激により、LPS受容体のトル様受容体4 (TLR4)と結合して、なんと細菌を排除する能力が高まることが報告されておる(1)。LPSがピエゾ1とTLR4との出会いを作り、その結果、マクロファージの異物貪食能と殺菌活性が高まり、細菌が排除されるのじゃな。

マクロファージが温度を感知して異物排除能を高めるだけでなく、圧力を感知してLPSによる異物排除能を高める仕組みがあるのじゃが、すると、乾布摩擦やマッサージとLPSの組み合わせが健康維持に結構よいかもしれんのう。

(1) Nature Commun. 12: (2021). "TLR4 signalling via Piezo1 engages and enhances the macrophage mediated host response during bacterial infection”

ひげ博士

出典:特定非営利活動法人自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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