免疫が感染症から体を守る仕組みとは?感染症予防法もご紹介!

感染症を予防するには、免疫力が大切です。免疫とは私たちのからだに備わっている防御システムのことで、「抵抗力」と表現されることもあります。いったいどのように働いて病原体から体を守ってくれているのでしょうか?免疫のしくみと、感染症予防に役立つ免疫力アップの方法を解説します。

感染症の感染経路

咳

感染症にかかる際は、主に3つの感染経路があります。まず、感染している人の手や感染している人が触ったドアノブ、手すり、便座、スイッチなどに触れることで感染する「接触感染」です。手や物だけではなく、感染した人の汚物や嘔吐物からも接触感染することがあります。

さらに、くしゃみや咳などに含まれる病原体から感染するのが「飛沫感染」です。つばや飛沫が飛ぶ距離はおよそ1~2m。適切な距離をとり、マスクを着用することが有効な予防手段となっています。

また、咳やくしゃみによる飛沫はすぐにはなくなりません。しばらくは空中に浮遊しており、風によって運ばれたり、ホコリに付着して浮遊したりすることもあります。これを呼吸によって吸入してしまうのが「空気感染」です。

免疫が感染症から体を守る仕組み

免疫はまず「自然免疫」と「獲得免疫」に分類することができます。「獲得免疫」はさらに働き方で分けると、「体液性免疫」と「細胞性免疫」に分類されます。それぞれの特徴を解説します。

自然免疫

自然免疫と獲得免疫

自然免疫は生まれたときから持っている免疫です。自然免疫は、体に病原体などの異物が侵入するとすぐさま認識して、病原体を食べて退治します。

ただ、すべての病原体を認識できるわけではなく、血液に入り込んだ毒素(異物)や小さな病原体などは自然免疫では対応できません。これは獲得免疫が対処します。

獲得免疫

獲得免疫は生まれた後に、接触したウイルスや細菌を覚えていく学習型の免疫機能です。細胞内に入り込んだ病原体も退治することができます

ただ、生まれつき持っている免疫機能ではないので、病原体を認識するには、自然免疫から過去に侵入した病原体についての情報をもらっておく必要があります。おたふく風邪などが一度かかったら再度かからないのも、この獲得免疫が病原体の情報を記憶して体を守っているからです。

体液性免疫

体液性免疫

体液性免疫は、抗体を作って病原体を攻撃する免疫システムです。細菌や寄生虫などに対しては、毒素を中和したり、菌を破壊したりする抗体を産生して体を守ります。退治しにくい病原体には、B細胞(形質細胞)がつくった抗体を結合させて排除しやすくする機能もあります。ウイルスに対しては、中和抗体を結合させて感染が広がるのを阻害します。また、ウイルスに感染した細胞を、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)に結合させて細胞ごと破壊することもあります。

細胞性免疫

細胞性免疫

細胞性免疫は抗体は産生しませんが、直接病原体を排除できる免疫です。細菌や寄生虫に対しては、マクロファージという貪食細胞が食べて退治します。マクロファージによる退治が難しい場合は、マクロファージを活性化するT細胞を産生して攻撃力を高めます。

ウイルスに対しては、キラーT細胞やNK細胞が攻撃します。キラーT細胞はウイルスが持つ抗原を認識できるので、それを目印に攻撃し、破壊して体を守ります。

感染症予防のための免疫力アップ方法

感染症予防には免疫が重要ですが、免疫は日常生活の中で高めていくことができます。少しの工夫で免疫力をアップできるので、こちらでいくつかおすすめの方法を紹介します。

適度な運動

運動による免疫細胞の活性化

運動には血行を促進する効果があります。体中に血液が行き渡ると、免疫細胞を含む白血球も体のすみずみまで届きます。スポーツ選手のような激しい運動をしてしまうと逆に免疫力が下がることもあるので、ウォーキングなど、適度に体を動かす程度で十分ですよ。

体温を上げる

免疫力は体温を上げるだけでも高められます。体温が1℃上がると、免疫力がなんと5~6倍も上がるといわれています。なぜなら、体温が上がると血行がよくなり、免疫細胞がすみずみまで運ばれると同時に、免疫力のもとになる酵素が活性化されるから。軽い運動をしたり暖かい飲食物を摂ったりして、体を冷やさないように気をつけましょう。

腸内環境をよくする食事

腸は最大の免疫器官といわれています。私たちの腸内には、免疫力を高める有用菌と、毒素を出したりする悪い菌が共存しています。悪い菌が増えてしまうと免疫力が低下してしまうので、有用菌を増やす乳酸菌や食物繊維などを積極的に摂って、腸内環境を整えましょう

過度のストレスを避ける

深呼吸している女性

ストレスを感じると、IgAが分泌されにくくなることがわかっています。IgAとは免疫グロブリン(抗体)のひとつで、病原菌やウイルスの侵入を防ぐ働きをしています。

また、私たちには自律神経という体の動きをコントロールする神経があります。ストレスがたまると交感神経が優位になって、免疫細胞のひとつである顆粒球が増えます。リラックスしている時には副交感神経が優位になってリンパ球が増えますが、ストレスがたまっていると顆粒球ばかりが増えてリンパ球とのバランスが乱れてしまいます。そのため、免疫力を高めるには、適度なストレス発散法を見つけて、こまめにストレスを解消するのがおすすめです。

質の高い睡眠をとる

私たちが眠っている間に分泌される成長ホルモンには、傷ついた細胞を修復したり、免疫物質を作ったりする働きがあります。睡眠不足になりやすい人や夜更かしをしがちな人は、この成長ホルモンが十分に分泌されず、免疫力が低下している可能性があります。

眠りにつきにくい人は、入眠前は目を刺激するスマホの画面を見ないようにし、温かい飲み物で体を温めると眠りにつきやすくなります。

基本的な感染症予防法もおさえておこう!

私たちが生活する中でも、感染症を予防できるコツがあります。ここでは、3つのポイントを紹介します。

手洗い・うがい

手の洗い方

手洗いは感染症予防の基本です。手に付いた雑菌が口や目などの粘膜に入ると感染しやすいので、手はいつも清潔を保ちましょう。このとき、洗い方にも注意しましょう。指の間や手首はあまり洗わない人もいますが、細菌やウイルスが付着しやすいところです。

また、爪や手のシワの間などは手洗いが不十分になりやすい場所なので注意したいところです。手洗いは丁寧にすみずみまで洗うようにしてください。

人混みを避ける

ウイルスや細菌は人によって運ばれます。多くの人と接触するとそれだけ感染する危険も高くなってしまうので、なるべく人混みを避けて行動しましょう。

マスク・咳エチケット

咳やくしゃみ、会話をしたときに飛ぶツバなどには細菌やウイルスが含まれていることがあります。お互いに感染させない・感染しないためには、マスクを着用し、咳をするときにはハンカチや手で抑えるのがエチケットです。

健康維持に欠かせないLPSを補給しよう

LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。

LPSとは?4コマ漫画で解説

この記事の著者
やさしいLPS編集部

食用植物に共生するパントエア菌由来の“免疫ビタミン”LPSを提供する自然免疫応用技研株式会社です。当サイトでは、自然免疫、マクロファージ、LPSに関する情報と、当社の活動をお伝えします。

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