インフルエンザに感染すると免疫はどう働く?予防接種の重要性は?

重症化すると命にかかわることもあるインフルエンザは、とくに気をつけたい感染症のひとつです。インフルエンザに限らず、ウイルスなどに感染した際には体の免疫機能が働きますが、体の中ではどのようなことが起こっているのでしょうか?

また、毎年多くの人が受けている予防接種も免疫の働きを利用したものです。では、なぜ予防接種で感染を防ぐことができるのでしょうか?予防接種を受ければ絶対にインフルエンザにはかからないのでしょうか?免疫や予防接種のしくみと、正しいインフルエンザの予防法についてお伝えしていきます。

そもそもインフルエンザとは?

インフルエンザは風邪と混同されることもありますが、全く違う病気です。どちらもウイルスに感染することが原因という点では同じですが、風邪の原因となるウイルスには多くの種類がある一方で、インフルエンザの原因はインフルエンンザウイルスに限定されています。

また、症状の現れ方も、インフルエンザは38℃以上の熱が出て急速に頭痛や筋肉痛、倦怠感などの強い全身症状が出てくるのに対し、風邪の場合は高熱が出ることはあまりなく、くしゃみや咳、のどの痛みなどの軽い症状が中心です。

重症化しやすい人

インフルエンザはつらい全身症状と高熱を伴うので若い人でも油断はできませんが、重症化しやすいのは高齢者や子供です。高齢者は免疫力の低下から肺炎を併発しやすく、小児は急性脳症を引き起こすことがあるため、とくに注意したいものです。

インフルエンザウイルスに感染したときの免疫(抗体)の働き

インフルエンザなどのさまざまな感染症から体を守るために、私たちの体には免疫という防御システムがあります。そして感染の際、免疫の働きの中で重要な役割を持つものが「抗体」です。

抗体とは、ウイルスや細菌を排除するためのタンパク質でできた物質のことです。ウイルスや細菌が侵入してくると、その異物に結合できる抗体を作りだして排除します。

ただ、抗体は敵となるウイルスや細菌と一致する構造でなければ働けません。インフルエンザウイルスは変異を繰り返すため、過去に抗体を獲得していてもその抗体では異物を排除できないこともあります

そこで期待されるのが予防接種です。予防接種は、そのシーズンにどのようなインフルエンザウイルスが流行するかを予測し、そのウイルスに合うワクチンや、複数のウイルスに対応できるワクチンを作って抗体の獲得を可能にします。ウイルスとワクチンの型が合えば発症を避けられるあるいは軽症で済むようになるので、感染や重症化を避けるには有効な手段となります。

インフルエンザの予防接種

インフルエンザの予防接種をする場合に気をつけておきたいことはあるのでしょうか?ここでは、予防接種を受ける前に知っておきたいことを解説していきます。

抗体ができるタイミングと効果が期待できる期間

インフルエンザのワクチンは接種した直後から効果が出るわけではありません。抗体ができるまではおよそ2週間程度かかります。そのため、ワクチンを接種しても当分は予防に注意する必要があります。
また、抗体の持続期間は5ヶ月程度です。次のシーズンには効果がなくなっているので、この点も注意しておきましょう。

インフルエンザの予防接種ができない人

インフルエンザの予防接種を受けられない人もいるので、次のような人は接種しないか、主治医に相談してください。

発熱がある(37℃以上は要注意)
急性の重い病気にかかっている、または、ウイルス性の疾病(手足口病・感染性胃腸炎・突発性発疹・伝染性紅斑病など)から回復してから2週間以内
卵アレルギーがある
ワクチンの原料には卵を使っているため、卵アレルギーの方は注意が必要です。アレルギーの程度によっては接種可能なので、医師に相談してください。
・過去にアナフィラキシーショックを起こしたことがある

アナフィラキシーショックのリスクがあるなどの理由でインフルエンザの予防接種ができない人が感染者と濃厚接触をした場合、抗インフルエンザ薬を予防的に投与するという方法がとられることもあります。

予防接種をしてもインフルエンザにかかることも

インフルエンザワクチンに使われるインフルエンザウイルスは無毒化しているので、体への負担は少ないと考えられています。しかしその反面、1回接種しただけでは十分な抗体が作られない可能性があります。とくに13歳未満の子供は抗体ができにくいので、2回接種することが推奨されています。

また、インフルエンザの予防接種をしておけば絶対に感染しないというわけではありません。ワクチンの効果があるのは、あくまで流行したウイルスとワクチンに使われたウイルスの型が一致した場合のみです。ワクチンと違う型のインフルエンザには予防接種の効果はありません

インフルエンザの予防法&免疫力アップ法

インフルエンザの予防は、日常生活の中でもできることがあります。ワクチンだけに頼るのではなく、基本的な予防を心がけながら免疫力を上げる工夫もして、インフルエンザをはじめとした感染症を防ぎましょう。

マスクをする

マスクは予防だけでなく、感染した人がくしゃみや咳をしたときに、他の人に感染させないための手段としても有効です。ウイルスを含む飛沫を吸い込まないためには、顔とマスクの間に隙間を作らないようにしましょう。

手洗い・うがいをする

手洗いは手のすみずみまで洗ってこそ効果を発揮します。上の図のように、指の関節の間や爪の間など、見落としがちなところにも気をつけましょう。

洗い残しが多いのは、爪や指の間、手のシワの隙間などです。意識して洗ってみましょう。また、洗った後は清潔なタオルで手をふくことが重要です。家族で使いまわしをしている場合などは要注意です。

なお、うがいも大切です。ただしうがいは風邪予防として有効な方法ですが、インフルエンザの予防効果は科学的に証明されていません

温度・湿度に注意する

インフルエンザウイルスは、気温が低く、乾燥したところを好みます。室温を21℃にすると、16時間後に99%のウイルスの感染力を奪うことができるという研究結果もあります。室内の温度は低めの18℃~20℃にするといいでしょう。

また、湿度60%程度で不活性化するといわれるので、室内の湿度は50~60%が良いと考えられます。

バランスの良い食事をとる

ウイルスに負けない体づくりには、食事でしっかりと栄養を摂ることが大切です。とくにたんぱく質は免疫細胞や抗体を作る栄養素なので、たんぱく質が豊富な肉や魚、卵などを毎日摂るようにしましょう。

さらに、ビタミンAには粘膜を保護する働きがあるので、鼻やのどからウイルスが侵入するのを防ぐ効果が期待できます。かぼちゃや牛乳、レバーなどに多く含まれます。

また、ビタミンCには抗酸化作用があり、免疫力を高める効果が期待できます。イチゴや柑橘類にも多く含まれますが、ホウレン草や小松菜、キャベツ、ブロッコリーなどの野菜にも多く含まれています。ただしビタミンCは熱に弱いので、生もしくは短時間の加熱で調理するのがポイントです。

十分な睡眠をとる

睡眠中には「成長ホルモン」というホルモンが分泌されており、免疫機能に大切な物質を作ったり、細胞を修復したりしています。とくに入眠後3時間ほどは深い眠りに入りやすく、成長ホルモンの分泌が活発になります。十分な時間を確保できるよう早めにベッドに入り、ぐっすりと眠って健康づくりをしましょう。

ストレス解消を心がける

ストレスは免疫力を低下させます。免疫システムは白血球に含まれる免疫細胞によって活動していますが、ストレスがたまると自律神経のバランスが乱れて交感神経が優位になり、活動時に活発になる顆粒球という種類の免疫細胞が増えます。一方で、リラックスしている時には副交感神経が優位になり、リンパ球という種類の免疫細胞が増えます。

これらどれかひとつだけが多くても、免疫システムは安定して働くことはできません。それぞれがバランスよく保たれてはじめて免疫がスムーズに働きます。日ごろから適度な運動や趣味の時間を作って、こまめにストレスを発散させるようにしましょう。

適度に運動する

適度な運動には免疫細胞を活性化する効果があります。運動をすると血行が良くなり、免疫細胞が体のすみずみにまで運ばれるからです。さらに、筋肉は血行を促すポンプの役目をしているので、筋肉が鍛えられると血液が循環しやすくなるという効果もあります。運動が苦手な方も、無理のない範囲で楽しめるウォーキングから始めてみませんか?

体温を上げる

体温が1℃上がると、免疫力が5~6倍上がるといわれます。体温が上がると血行が良くなり、免疫力のもとになる酵素が活動しやすくなるからです。

暑い季節でも冷たい飲み物を避けて常温や温かい飲み物を飲み、お風呂でしっかりと温まり、軽い運動なども行いましょう。

LPS活用事例

LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。

この記事の著者
やさしいLPS編集部

食用植物に共生するパントエア菌由来の“免疫ビタミン”LPSを提供する自然免疫応用技研株式会社です。当サイトでは、自然免疫、マクロファージ、LPSに関する情報と、当社の活動をお伝えします。

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