免疫におけるサイトカインの役割や種類~疾患の原因になることも⁉~

私たちの体内では、免疫細胞からサイトカインという物質が分泌されています。サイトカインは、身体の健康維持に必要な免疫を機能させるために、重要な役割を担っている一方で、分泌のバランスが崩れると、身体を傷つけたり疾患を引き起こすきっかけにもなります。

ここでは免疫とサイトカインが一体どのように関係しているのかを、詳しく解説していきます。

免疫におけるサイトカインの役割

サイトカインは主にタンパク質からできており、細胞から生産・分泌される物質です。サイトカインは細胞同士の情報を伝達し、免疫細胞を活性化させたり抑制したりするはたらきを持っており、免疫機能のバランスを保つための重要な役割を担っています。

サイトカインの種類

サイトカインは主にインターロイキン類、インターフェロン類、ケモカイン、造血因子、細胞増殖因子、腫瘍壊死因子に分類できますが、体内には約800種類存在すると言われており、今も発見が続いています。

炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカイン

免疫細胞は病原体やがん細胞などの異物を体内で認識すると、IL-1やIL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインを誘導することによって生体の炎症(異物排除)を促し、免疫反応を活性化させます。

一方、IL-10や、TGF-βなどの抗炎症性サイトカインは、こうした免疫反応が過剰にならないよう炎症を抑制する作用があります。

しかし、ウイルスの侵入や薬剤投与などが原因で炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインのバランスが崩れ、炎症性サイトカインの分泌が過剰になると、次々と炎症反応が起こります。この結果、自分の細胞まで傷づけてしまう現象を「サイトカインストーム」と呼びます。

サイトカインの種類

サイトカインストームが起こると、感染症の重症化や自己免疫疾患などの疾患をもたらすことがあります。また血管内凝固症候群や心筋梗塞や脳梗塞、低酸素血症などを引き起こしてしまいます。

特に高齢者や基礎疾患を持つ人に起こりやすいことがわかっており、サイトカインストームを引き起こさないためには、免疫が正常に機能していることが重要だと言えるでしょう。

インターロイキン類

インターロイキンは、現在では30種類以上存在しています。特に、体内の異物と戦う白血球の一種であるリンパ球や、マクロファージや好中球などの貪食細胞(異物を食べるはたらきがある免疫細胞)からIL-1、IL-4、IL-10などが多く分泌されます。

これらのインターロイキンは、免疫細胞の分化・増殖や活性化、免疫反応の沈静化や細胞死に作用し、免疫バランスを調節する役割を担っています。

インターフェロン類

インターフェロン

インターフェロンは、ウイルスに感染した細胞などを攻撃するNK細胞(リンパ球の一種)や、マクロファージを活性化させ、ウイルスや腫瘍細胞の増殖を抑制する働きがあります。

抗ウイルス薬や抗がん剤としても国の承認を受けており、多発性骨髄腫(白血病の一種)、脳腫瘍、腎がんの治療に使用されています。

腫瘍壊死因子類

腫瘍壊死因子は主にマクロファージから生産され、腫瘍細胞の細胞死(アポトーシス)や炎症反応の誘導をおこないます。αとβがあり、特にTNF-αは代表的な炎症性サイトカインとして知られています。

ケモカイン

ケモカインは50種類以上存在し、炎症部で多く生産され、白血球などの免疫細胞を炎症部位に移動させる「走化作用」を持っています。

造血因子(コロニー刺激因子)

血液

造血因子には顆粒球コロニー刺激因子であるG-CSFやエリスロポエチン(EPO)があり、血球(赤血球・白血球・血小板)や免疫細胞の分化・増殖を促進します。

細胞増殖因子

細胞増殖因子は成長因子とも呼ばれています。成長因子には、肌の正常なターンオーバーを促す上皮成長因子(EGF)や、肌のコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの成分を生成する線維芽細胞成長因子(FGF)、組織の分化や発達を促す腫瘍増殖因子(TGF-β)などがあります。

これらの増殖因子は、血球以外の特定の細胞の増殖・分化を促進するだけでなく、美容や育毛に効果的な成分として使用されることもあります。

免疫機能を活性化させるには

免疫機能とサイトカインの関係を解説しました。私たちが健康を維持するには免疫機能を活性化させることも大切なことです。 体にもともと備わる免疫機能を活性化する方法として、LPSの摂取が有効とされています。

LPSは「マクロファージ」の働きを高めることが分かっています。マクロファージは、記事内でも紹介した通り、サイトカインとも深く関わっているため、マクロファージの活性化はサイトカインの分泌バランスを正常に保つことにつながり、結果として免疫機能の維持につながるという仕組みです。

LPSが免疫細胞を活性化させる仕組みは次の記事で解説していますので、興味のある方は合わせてご覧ください。

LPSは免疫細胞を活性化させる!その仕組みを詳しく見てみよう

健康維持に欠かせないLPSを補給しよう

LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。

LPSとは?4コマ漫画で解説

この記事の著者
やさしいLPS編集部

食用植物に共生するパントエア菌由来の“免疫ビタミン”LPSを提供する自然免疫応用技研株式会社です。当サイトでは、自然免疫、マクロファージ、LPSに関する情報と、当社の活動をお伝えします。

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