体温が上がると免疫力も上がるという根拠は?

体温が低いと免疫力が低くなるのは本当です。

例えば、風邪ウイルスを33℃と37℃で上皮細胞に感染させる実験を行うと、ウイルスの数は33℃の方が37℃より100倍多くなるという実験結果が報告されています*。

これはウイルスが増えるために33℃の方が37℃より適しているというわけではなく、ウイルスの感染を受ける上皮細胞が出す抗ウイルス因子「インターフェロン」の量が、33℃では37℃より少ないことが原因です。つまり、少なくともウイルスや細菌の感染を受けた時、体温が高い方が、私たちの細胞の防御力=免疫力が高いのです。

冬に、冷たい空気を吸い込むと、鼻の粘膜の温度が下がるので、そこでウイルスが増えやすくなります。寒い日に「風邪をひかないようにね」と声をかけるのは、ちゃんと理屈にあっています。もっとも、今時は、冷房を使う夏場も要注意です。マスクは口や鼻の温度が下がるのを防ぐので、免疫力の低下を防ぎ感染リスクを下げる効果があります。

体温が低めのヒトは、運動でほどよく筋肉量を維持し、ショウガやヒハツなど体を温める食べ物を摂りましょう。また気温の下がる冬場や冷房付けになる夏、免疫力の低下を予防するために、ペプチドグリカンを含む乳酸菌、βグルカンを含むきのこ、リポポリサッカライド(LPS)を含む野菜や穀類も積極的に摂りたい食べ物です。

*Temperature-dependent innate defencse against the common cold virus limits viral replication at warm temperature in mouse airway cells. PNAS, 112 (3): 827-832

健康維持に欠かせないLPSを補給しよう

LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。

LPS活用事例
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