健康な体を作るために大切なのは、病原菌などの外敵から体を守ったり、傷ついた細胞を修復したりする、自己防衛システムである「免疫力」。

実は、免疫力は日々口にする食べ物と大きな関わりがあり、免疫力を高めて健康な体を作るためには食生活の見直しがとても重要です。そこで、ここでは食生活と免疫の関係や、免疫力アップにおすすめの食べ物など健康な体を作るための食べ方、そして「免疫ビタミン」とも呼ばれる「LPS」についてもご紹介しています。

LPSとは?免疫を支える「免疫ビタミン」

LPS(リポポリサッカライド)は、土や植物、海の中など自然界に広く存在する細菌由来の成分です。体内では、自然免疫の中心的な役割をになうマクロファージという細胞に働きかけることが知られており、その性質から「免疫ビタミン」とも呼ばれています。

ビタミンという名前がついていますが、体内でつくり出すことがむずかしいため、日々の食事などから取り入れることが大切だと考えられています。この記事で紹介する免疫力アップの食べ物のなかにも、LPSを含む食材が多く登場します。

なぜLPSは免疫の助けになる?マクロファージとLPS

食べ物から取り入れたLPSは、体内でマクロファージという免疫細胞に働きかけます。マクロファージは、体に入ってきた異物などを取り込んで処理する、自然免疫の中心的な細胞です。

LPSはこのマクロファージの働きに関わることが研究で報告されており、日々の食事でLPSを含む食材を取り入れることが、自然免疫を下支えする一つの方法と考えられています。

健康な体を作るには免疫力アップが必要不可欠!

食事

免疫は、体に入ってきた異物などの外敵を見つけて排除したり、発生した老廃物などを処分して細胞の修復を助けたりする、体の防御のしくみです。健康な体を保つうえで、免疫の働きを日ごろから維持することが大切だと考えられています。

実は、免疫力をつかさどる免疫細胞は約7割が腸に集中しているため、免疫力を高めるには、腸内環境を整えることが重要です。そのため、食物繊維や発酵食品など、腸内環境を整えると言われる食べ物を進んで摂る必要があります。さらに、細胞の元となるタンパク質や、抗酸化作用(細胞の老化を防ぐ)や免疫細胞を強化するビタミン類・ミネラル類なども、十分に摂らなくてはいけません。

※免疫力を高める栄養素についてくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
免疫力を高める栄養素とは?働きとおすすめ食材をご紹介!

健康な体を作る!免疫力アップにおすすめの食べ物15選

健康な体を作るために必要不可欠な「免疫力」。ここでは、免疫力アップが期待できる、おすすめの食べ物をご紹介します。

胚芽米や玄米

胚芽米や玄米

胚芽米(成長すると芽になる部分の胚芽を残した米)や玄米(もみ殻のみを外して外側のぬかや胚芽を残した米)は、ぬかも胚芽も取り除いてしまう白米と比較すると、整腸作用がある食物繊維、細胞の元となるタンパク質、細胞の構成や代謝を良くするミネラル類、抗酸化作用があるビタミン類などが豊富に含まれています。

また、ぬかや胚芽部分には、体内にある免疫細胞のマクロファージを活性化するなどの働きがあるLPSも多く含まれているため、免疫力アップにつながります。

海藻

海藻には、免疫細胞を強化するマグネシウムや亜鉛、フコイダン、抗酸化作用があるクロロフィル、整腸作用があるアルギン酸(食物繊維の一種)など、免疫機能を支える栄養素が豊富に含まれています。

また、こちらもLPSが豊富。そもそもLPSは細菌が持っている物質なので、農薬や化学肥料の影響がなく、細菌が死滅しにくい海で育った海藻類は、LPSが豊富と言われています。

きのこ

きのこ

きのこにはβグルカン(食物繊維の一種)が豊富で、免疫細胞の働きに関わることや、腸内環境を整えることが研究で報告されています。

その他、皮膚や粘膜を正常に保って異物の侵入を防ぐビタミンB2、血流を良くするビタミンB6(免疫細胞は血液中にも含まれるため、血流がよくなると免疫細胞が活性化できる)、免疫機能を調節するビタミンDなど、免疫力を高める多くの栄養素が含まれています。

※きのこと免疫の関係についてくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
免疫力アップにはきのこがいい?きのこに含まれる嬉しい成分や食べ方をご紹介!

煮干しなどの小魚

煮干しなどの小魚には、細胞の元となるタンパク質、免疫機能を調節するビタミンD、抗酸化作用があるビタミンEの他、細胞を構成するミネラル類も豊富です。

さらに、免疫のシステムを正常に働かせるために重要なカルシウムも豊富に含まれています。カルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶けて免疫細胞の中に入り込み、細胞内のカルシウムの濃度が過剰になります。すると、免疫のシステムが上手く働かなくなるため、積極的にカルシウムをとることはとても大事です。

※ビタミンDと免疫の関係についてくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
ビタミンDで免疫力アップ!その働きやおすすめの摂り方とは

発酵食品

発酵食品は、さまざまな菌などの微生物によって発酵させられた食品のこと。消化吸収しやすく、腸内環境を整える成分も豊富で、免疫力アップに期待ができます。なかでも代表的な食品を見ていきましょう。

※発酵食品と免疫の関係についてくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
発酵食品が免疫力アップに効果的な理由とは?おすすめ食品11選

納豆

納豆は、細胞の代謝を良くする亜鉛、細胞の元となるタンパク質、さらに、免疫細胞の一つであるナチュラルキラー細胞に関わるサポニンや大豆イソフラボンなど、免疫力アップが期待できる栄養素が実に豊富な食べ物です。

納豆菌の腸内環境を整える働き

また、納豆を作る際に必要な納豆菌は、胃酸に強い性質があります。生きたまま腸まで届いて有用菌(いわゆる善玉菌)のエサとなり、効率良く腸内環境を整えることができます。

※LPSと納豆の関係についてくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
LPSと納豆はどちらも免疫力を高める!その関係性とは?

ぬか漬け

ぬか漬けは、野菜などを米ぬかで発酵させて作った漬け物のこと。乳酸菌が豊富に含まれており、 腸内環境の改善が期待できます。

また 、ぬか漬けは加熱をしないため、野菜の持っている栄養素が壊れることがありません。野菜が発酵する過程でビタミン類も増加し、免疫力アップに必要な栄養素がしっかりと摂れると言われています。

味噌

味噌

味噌は、原料となる大豆自体も免疫力アップに効果が期待できるとともに、有用菌のエサとなり腸内環境を整える麹菌や乳酸菌も含まれています。

また、味噌の色素成分であるメラノイジンには、強力な抗酸化作用があります。赤味噌や黒味噌などの色の濃い味噌は特に抗酸化作用が強いと言われています。

ヨーグルト

ヨーグルトには、腸内環境を整える乳酸菌などが豊富に含まれています。乳酸菌には多くの種類があり、それぞれで腸への作用も異なります。腸内の働きを良くして免疫力を高めるためにも、ヨーグルトの種類を変えてさまざまな菌を摂取するのもおすすめです。

※ヨーグルトと免疫の関係についてくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
ヨーグルトで免疫力が高まる!その理由とおすすめの食べ方とは

緑黄色野菜

緑黄色野菜にはビタミンや食物繊維などが豊富に含まれており、免疫力アップはもちろんのこと、健康や美容全般のために欠かせない食べ物です。ここでは3種類の野菜をご紹介します。

※野菜から摂れる栄養素とLPSについてくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
野菜は免疫力アップする?ビタミンや食物繊維、LPSが摂れる食材

ブロッコリー

ブロッコリー

ブロッコリーには、腸の働きを良くする食物繊維、抗酸化作用があるビタミンCやβカロテンが豊富に含まれています。ブロッコリーのビタミンC含有量はレモンの2倍以上と言われているため、健康な体を作るためにぜひ摂りたい食べ物です。

ニンジン

ニンジンには、粘膜を強くしてウイルスの侵入を防ぐ働きや、抗酸化作用があるβカロテン、腸内環境を整える食物繊維、エネルギー代謝に欠かせないカリウムなどが含まれています。βカロテンは体内に入るとビタミンAに変化し、免疫細胞である白血球を増やす働きがあります。

ほうれん草

ほうれん草は、抗酸化作用があるビタミンCやβカロテンの他、細胞の強化には必須のミネラル類が豊富な食べ物です。また、ほうれん草にはLPSも多く含まれているため、さらなる免疫力アップが期待できます。

大豆・小豆

大豆や小豆

大豆には、細胞の元となり、免疫細胞を活性化する大豆たんぱく質が豊富に含まれています。その他、 抗酸化作用がある大豆イソフラボン、腸のぜん動運動を活発にして腸内環境を整える不溶性食物繊維、免疫細胞を活性化させる亜鉛などの、豊富な栄養素によって免疫力アップが期待できます。

また、小豆にはごぼうの約3倍もの食物繊維が含まれています。さらに、抗酸化作用があるポリフェノールなども摂取できます。

※亜鉛と免疫の関係についてくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
亜鉛は免疫力を上げる栄養素のひとつ!その理由やおすすめ食材とは

果物

加熱せずに食べられる果物は、免疫力アップに必要な栄養素を壊すことなく摂れる食べ物です。ここでは3つのフルーツについて見ていきましょう。

バナナ

バナナは、強い抗酸化作用があるポリフェノールが豊富。免疫細胞である白血球の増殖や活性化につながります。さらに、腸内の有用菌を増やすオリゴ糖や、腸内環境を整える食物繊維も多く含まれています。

特に、黒い斑点が出るまで熟したバナナは、免疫細胞を活性化させる(白血球を増やす)作用がより強いと言われています。

柑橘類

柑橘類

みかんやオレンジなどの柑橘類には、免疫細胞である白血球やリンパ球の働きをサポートするビタミンCが豊富に含まれています。

ビタミンCにはコラーゲンの生成を促す役割もあります。コラーゲンは皮膚や粘膜を丈夫にして異物の侵入を防ぐため、免疫力アップにつながります。

※ビタミンCと免疫の関係についてくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
ビタミンCは免疫力アップに欠かせない栄養素!身体に嬉しい効果がいっぱい

キウイフルーツ

キウイフルーツにはレモンよりも多くのビタミンCが含まれているほか、腸内環境を整える食物繊維や、強力な抗酸化作用・血流促進作用があるビタミンEも豊富です。

健康な体を作るにはバランスよく適量を食べるのが大事!

健康な体を作るためには免疫力のアップは必要不可欠。免疫力アップが期待できる食べ物を積極的に摂りましょう。ただし、特定の食材ばかりを食べていては、栄養バランスが崩れてしまい、体調不良につながる可能性もあります。免疫力を高めて健康な体を作るためには、バランス良く適量を食べることを心がけましょう。

また、食べ過ぎは胃腸に負担をかけて腸の消化機能が鈍くなり、腸内環境悪化につながります。そのため、暴飲暴食はせず、摂取カロリーを適度に抑えることも大切です。毎日の健康的な食生活の積み重ねが、健康な体作りにつながります。

免疫ビタミン「LPS」

文中でも何度かご紹介した「LPS(リポポリサッカライド)」は、「免疫ビタミン」とも呼ばれ、白血球内にある免疫細胞・マクロファージ*の働きに関わることが研究で報告されています。

*マクロファージは、病原菌やウイルスの感染から体を守るだけでなく、傷の修復を早めたり、体の新陳代謝を調節したりするなど、健康維持のためにさまざまな役割果たしています。

LPSは「グラム陰性細菌」の一番外側にある外膜に埋め込まれている物質で、田畑や森林など自然の中に多く存在しています。LPSを含む食品(玄米、皮付きの根菜類、めかぶやほうれん草など)も多々あり、生活する中でLPSを自然に摂取しながら免疫力を維持することができています。

お茶にはカテキンなど、体の健康を支える成分が含まれています。種類によって成分や特徴が異なるため、飲み方や選び方を知って毎日の習慣に取り入れるとよいでしょう。詳しくはこちら:免疫力アップにお茶がおすすめ!特におすすめの種類や飲み方をご紹介!

キムチは乳酸菌や食物繊維、唐辛子の成分などを含む発酵食品です。腸内環境を整える成分が豊富で、効果的な食べ方を意識すると日々の食生活に取り入れやすくなります。詳しくはこちら:キムチは免疫力アップに期待大!栄養素・成分や効果的な食べ方とは

免疫抑制剤を使用している場合は、食品との関わりについて自己判断せず、かかりつけの医師や薬剤師に相談することが大切です。体の状態に合わせた確認をおすすめします。詳しくはこちら:免疫抑制剤を使っている時に、免疫を活性化する食品を食べて良いのでしょうか?

免疫細胞の材料となるタンパク質は、体の健康を支える大切な栄養素です。プロテインはタンパク質を手軽に補える一方、食事全体のバランスとあわせて考えることが大切です。詳しくはこちら:プロテインで免疫力は高まる?タンパク質や筋肉と免疫の関係とは

プロポリスはミツバチが作り出す成分で、ポリフェノールなどを含みます。健康を支える成分として知られており、取り入れ方を知って日々の生活に活用するとよいでしょう。詳しくはこちら:プロポリスで免疫力アップ!?プロポリスの嬉しい健康効果とは?

カレーには、ターメリックをはじめとするさまざまなスパイスや野菜が使われています。スパイスや食材の組み合わせによって、体の健康を支える成分を取り入れやすい料理です。詳しくはこちら:カレーは免疫力アップにおすすめ!スパイス・食材に期待できる効果とは?

味噌汁は、発酵食品の味噌に加え、わかめや野菜など免疫の働きを支える具材を一緒に取り入れられる料理です。具材を工夫することで、毎日の食事に取り入れやすくなります。詳しくはこちら:味噌汁は免疫力アップにおすすめ!味噌や定番具材の嬉しい効果とは?

ソバはLPSを含む食材のひとつで、そのほかにも体の健康を支える栄養素が含まれています。十割そばなど未精製に近いものを選ぶと、栄養素を取り入れやすくなります。詳しくはこちら:ソバにもLPSが含まれている!ソバの免疫機能への効果とは

玄米や海藻、きのこ、発酵食品、緑黄色野菜、果物など、免疫の働きを支える栄養素やLPSを含む食べ物はさまざまです。特定の食材にかたよらず、バランスよく取り入れることが大切です。詳しくはこちら:免疫力をアップする食べ物がありますか?

免疫の働きを支える栄養素をバランスよく取り入れることが、健康な体づくりにつながります。主食・主菜・副菜をそろえ、発酵食品や野菜を組み合わせた献立を意識するとよいでしょう。詳しくはこちら:免疫力を高める食事で病気に強い体づくり!専門家おすすめのレシピを紹介

https://www.macrophi.co.jp/special/2016/