LPSはあまり聞き慣れない言葉という人も多いのではないでしょうか?しかし、LPSは人が健康に生きていくうえでとても大切なもの。これからの時代にますます必要になる成分です。この記事では、LPSとはどのようなものかわかりやすく説明しましょう。

LPSとは?免疫を支える「免疫ビタミン」

LPS(リポポリサッカライド)は、土壌や植物、海の中など自然界に広く存在する細菌由来の成分です。体内では、自然免疫の中心的な役割をになうマクロファージという細胞に働きかけることが知られており、その性質から「免疫ビタミン」とも呼ばれています。

ビタミンという名前がついていますが、体内でつくり出すことがむずかしいため、日々の食事などから取り入れることが大切です。LPSがどんな成分で、体内でどのようにはたらくのかを、この記事で順番に見ていきましょう。

※免疫ビタミンとしてのLPSのはたらきをくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
免疫ビタミン「LPS」ってどんな効果があるの?

LPSは細菌の成分

LPSは細菌の一部として存在する成分で、「グラム陰性細菌」と呼ばれる細菌の外側に毛が生えたように埋め込まれています。

LPSは糖質と脂質で構成されている物質です。

※LPSが細菌由来の成分であることや、その種類についてくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
LPSは細菌の成分って本当?LPSの安全性と他の細菌に及ぼす効果
LPSの種類はグラム陰性細菌の数だけ存在する!代表的なLPSの働きとは

LPSという呼び方以外に「糖脂質」や「リポ多糖」とも呼ばれていて、英語では「Lipopolysaccharide(リポポリサッカライド)」と表記。LPSはこれを略した呼び方です。

糖質は水に溶け、脂質は油に溶けるため、両方の性質を持つLPSは水と油の両方に溶けます。特に水には溶けやすいのが特徴です。

※LPSという名前の由来や成分についてくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
LPSって何の略?身体に良いという噂は本当?

LPSは人の体の中でどのようにはたらく?

LPSは人の体に入ると、体内の働きを活発にする作用があります。特に有名なのがマクロファージの働きを高めることです。

※LPSが体内でどのような働きをするのかをくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
LPSってどんな働きをするの?LPSは健康維持に欠かせないものだった!

マクロファージとは血液中や組織など体中に存在する細胞です。体に侵入した細菌やウイルスといった異物から体を守るために働きます。さらに傷を治したり病気の回復を早めたりなど、免疫力を高めるために欠かせない存在です。

LPSは、そんな体にとって大切なマクロファージの働きを活性化させます。マクロファージの表面にはさまざまな物質を受け止めるレセプター(受容体)があり、そこにLPSが結びつくことで活性化が起こります。レセプターはたくさんの種類があり、LPSを受け止めるのは「TLR4」というレセプターです。

LPSがTLR4と結びつくことでマクロファージの細胞の奥に信号を送り、核の中にある遺伝子がそれに反応して細胞が活性化するという仕組みです。

このメカニズムを解明した科学者は、2011年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

※LPSがマクロファージにはたらきかけるメカニズムをくわしく知りたい方は以下の記事をご参照ください
リポポリサッカライド(LPS)の効果のメカニズムはどうなっているのですか?

マクロファージの活性化で健康な体になる

体の免疫力のために働くマクロファージが活性化することで、体は健康になります。ここでは、マクロファージが免疫力を発揮するメカニズムを簡単に説明しましょう。

マクロファージと一緒にはたらく細胞は3つ!

免疫力活性のため、マクロファージと一緒にはたらく細胞があります。次の3つの細胞です。

ヘルパーT細胞 マクロファージから情報を伝えられ、

免疫の司令塔としてはたらく

キラーT細胞 ヘルパー細胞からの指令を受け、

ウィルスに感染した細胞を排除する

B細胞 体内に侵入したウイルスを排除する

「抗体」を作る役割をする

マクロファージとこれらの細胞は、ウイルスなどが体に侵入したとき、次のようなはたらきをします。

① 体にウイルスが侵入しようとするとき、侵入を察知したマクロファージがその場所にかけつけ、ウイルスを食べて情報をゲットします。

マクロファージがゲットしたウイルスの情報は、ヘルパーT細胞へと伝えられます。

② 情報をキャッチしたヘルパーT細胞は、キラーT細胞に「ウイルスに感染した細胞を探して排除しなさい」と命令を出します。
③ 同時に、ヘルパーT細胞はB細胞に対し、「ウイルスに対抗する抗体を作りなさい」という指令を発信。指令を受けたB細胞が抗体を大量に作り出します。
④ たくさん作り出された抗体とキラーT細胞が、ウイルスに感染した細胞を攻撃します。

このようにマクロファージとともにいくつもの細胞が共同作業で細菌やウイルスに感染した細胞を攻撃・排除することで、病気が治っていくわけです。

こうした免疫の仕組みは、体調をととのえ、日々の健康を保つうえで欠かせない働きと考えられています。

LPS以外にもマクロファージを活性化する成分がある

前の項目で、マクロファージのレセプターにはたくさん種類があると説明しました。LPSが結びつくのは「TLR4」というレセプターですが、それ以外にも「TLR2」というレセプターがあり、これには酵母やキノコに含まれるβグルカン、乳酸菌に含まれるペプチドグリカンという成分が結びつきます。

そのため、キノコ類やヨーグルト、酵母を含む食品を食べてもマクロファージを活性化できるわけです。

LPSの能力の方がはるかに強い

しかし、これらβグルカンやペプチドグリカンは、LPSと同じくらいにマクロファージを活性化するためにはLPSの1000~10000倍の量を摂らなければなりません。それだけLPSの力は強いということです。

LPSは細菌由来の成分で、その性質から「免疫ビタミン」とも呼ばれています。どんな成分で、免疫とどう関わるのかを、あらためて整理して解説しています。詳しくはこちら:「免疫ビタミン」LPSはどんな成分?LPSで免疫力アップを目指そう!

LPSはマクロファージにはたらきかけることで知られ、「免疫ビタミン」とも呼ばれています。そのはたらきの詳しい内容を、わかりやすく解説しています。詳しくはこちら:「免疫ビタミン」のLPSは病気に強い体を作る!その働きを詳しく解説

 

LPSとはどのような成分なのかを、4コマ漫画でやさしく紹介しています。文章が苦手な方や、まず全体像をつかみたい方におすすめの内容です。詳しくはこちら:4コマ漫画で分かる「LPSとは?」

LPSはもともと体内にも存在する、ありふれた細菌由来の成分です。安全性の考え方について、気になる方に向けてわかりやすく解説しています。詳しくはこちら:LPSに副作用があるの?実は体にあることが普通の成分だった

LPSの毒性について気になる方に向けた解説です。取り入れ方による違いや安全性の考え方を、Q&A形式でわかりやすくまとめています。詳しくはこちら:リポポリサッカライド(LPS)に毒性はありますか?