「免疫ビタミン」LPSはどんな成分?LPSで免疫力アップを目指そう!

LPSは「免疫ビタミン」とも言われ、近年注目を集めている成分です。LPSとはどんな成分なのか、摂取することでどのような効果が期待できるのかを見てみましょう。

LPSは免疫力アップに有効

免疫とは

免疫とは私たちの身体を細菌やウイルスなどの異物から守るシステムです。病原性の細菌やウイルスが体内に侵入すると病気を引き起こす原因となり危険です。私たちの身体には、それらが簡単に侵入できないように、また、もし侵入してしまっても体内で感染を広げる前に排除するためのシステムがもともと備わっています。

私たちの身の回りには病原性の細菌やウイルスが数多く存在しています。もし免疫がなかったら、それらが頻繁に体内で感染を広げ、体調を崩してばかりになってしまうでしょう。また、元通りに回復するまでにも多くの時間がかかるでしょう。私たちが日々健康に過ごせているのは免疫のおかげなのです。

免疫がはたらくしくみ

自然免疫
  • 生まれつき身体に備わっているしくみ
  • 体内に侵入した異物を食べる等して排除
  • 幅広い種類の異物に対してすばやく反応できる
獲得免疫
  • 異物に応じた攻撃方法を記憶する後天的なしくみ
  • 抗体を作って異物を攻撃
  • 体内への侵入が2回目以降の異物に対して高い効果を発揮

体内に侵入した異物を排除する免疫は、自然免疫獲得免疫とに大きく分けられます。

自然免疫とは生まれつき身体に備わっているしくみで、体内に侵入した異物を食べる等して排除するものです。幅広い種類の異物に対してすばやく反応できることが特徴です。

一方、獲得免疫は異物に応じた攻撃方法を記憶する後天的なしくみであり、抗体という武器を作って異物を攻撃するものです。初めて侵入する異物に対してはそれほど効果を発揮できませんが、一度出会った異物の情報を記憶しておくことができ、2回目以降の侵入の際はすばやく大量の抗体を作って攻撃します。抗体は異物に合わせて作られたオーダーメイドの武器なので、高い効果を得られるのが特徴です。

免疫細胞マクロファージのはたらき

免疫において重要なはたらきをする細胞の1つがマクロファージです。マクロファージは自然免疫で活躍しており、体内に侵入した異物を見つけて食べる能力を持っています。食べられた異物はマクロファージに取り込まれ、やがて分解されます。

マクロファージの表面にはレセプター(受容体)と呼ばれる手のようなものが何種類も存在しています。レセプターはそれぞれ異なるグループの物質に対応しており、ウイルスに対応するレセプターや細菌に対応するレセプター、酵母や乳酸菌に対応するレセプターなどがあります。マクロファージはこのレセプターによって幅広い物質をキャッチして認識できるため、さまざまな異物に対して的確に対処できるのです。

LPSがマクロファージを活性化させると免疫力が向上

LPSにはマクロファージを活性化させる作用があることが明らかになっています。マクロファージが持つレセプターのうちTLR4という種類のものがLPSに対応しており、TLR4がLPSをキャッチするとマクロファージの細胞核にシグナルが伝達され、マクロファージが活性化します。

マクロファージが活性化すると、異物を見つけて食べる能力が向上します。それにより体内に侵入した細菌やウイルスが感染を広げる前に排除され、病気になったり症状が悪化するのを防ぐ効果が期待できます。

LPSはどのような栄養素なのか

LPSはグラム陰性細菌の成分

LPSはグラム陰性細菌という種類の細菌の外膜を構成する成分です。グラム陰性細菌は体の外側を細胞膜、細胞壁、外膜の3層で覆われており、LPSはそれらのもっとも外側にある外膜に埋め込まれるようにして存在しています。脂質の塊に鎖状の糖がくっついた構造をしており、「糖脂質」や「リポ多糖」という名称で呼ばれることもあります。

地球上には10万種以上の細菌がいると考えられており、それらは細胞壁の構造によってグラム陽性細菌とグラム陰性細菌の2種類に大きく分類できます。グラム陰性細菌には多くの種がいますが、例えばお酢を作る酢酸菌やテキーラを作るザイモモナス菌、食用植物に多いパントエア菌、腸にいる大腸菌、病原菌のコレラ菌やサルモネラ菌などがあります。

病原菌由来のLPSは危険なのではないかと考える人もいますが、そのようなことはありません。たとえ毒性を持つ細菌であったとしても、その毒性は細菌が体内で活動することによって生じるものです。取り出したLPSが単体で細菌と同じ毒性を持つことはありません。これは、私たちが爪を切ったとき、切られた爪に私たちの意思が乗り移って動き出したりしないのと同じことです。

LPSを免疫「ビタミン」と呼ぶ理由

近年になって、LPS不足がアレルギー疾患と関係していることが分かってきました。特に、農村部よりも都市部で花粉症などのアレルギー疾患を持つ人が多いのは、衛生環境が整ったことによって細菌に触れる機会が減り、LPSの摂取量が減少したためだと考えられるようになったのです。

原因不明の疾患が増加し、実は必要な栄養素の不足が原因だったと後から判明するのは、これが初めてではありません。江戸時代には脚気が流行しましたが、これは玄米食から白米食に切り替わったことでビタミンB1が不足したことが原因でした。また、ヨーロッパの大航海時代には船員たちの間で壊血病が流行しました。船上生活の間に野菜や果物の摂取量が減り、ビタミンCが不足したことが原因とされています。どちらも病気の流行当時にビタミンの存在は知られておらず、原因が分かるまでには長い時間がかかりました。

このように、LPSはビタミンの有用性が認識されるのと同じような経過をたどりつつあります。また、LPSはビタミンの定義とされる下記の条件をすべてクリアしています。

  • 生物の生存・生育に必須な栄養素で、不足すると疾病や成長障害が起こる
  • 体内で作ることができず、外部から取り込む必要がある
  • 炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物である

このことから、LPSは免疫「ビタミン」と呼ぶのがふさわしいと言えるのです。

LPSは身体に毒なのか

現在は健康に良い成分として注目されているLPSですが、もともとは炎症を引き起こす毒素として発見されました。このことから、LPSは身体に毒だと考える人もいます。

しかし、炎症を引き起こすのはLPSを血液中に注射した場合の話です。この場合、血液中の免疫細胞がLPSを細菌だと認識し、排除しようとするために炎症反応が起こります。

LPSを口から食べたり皮膚に塗ったりした場合にはこのような反応は起こりません。ラットを使った実験では、免疫力アップに有効とされる量の数万倍のLPSを食べさせても毒性は見られないという結果が出ています。血液の中の免疫細胞と口腔内や消化管の免疫細胞はLPSに対する反応性が異なるためです。

LPSが多く含まれる食べ物

LPSを持つグラム陰性細菌は土壌中に多く存在しています。土壌中のグラム陰性細菌は、窒素やリンを植物が利用できる形に変換して植物の生育を助けるという重要な役割を担っています。

そのため、野菜や穀類、海藻には多くのグラム陰性細菌がついています。加熱などの調理の過程で細菌は死んでしまいますが、LPSが壊れてしまうことはありません。私たちは野菜や穀類、海藻を通してLPSを摂取しているのです。

LPS活用事例

LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。

この記事の著者
やさしいLPS編集部

食用植物に共生するパントエア菌由来の“免疫ビタミン”LPSを提供する自然免疫応用技研株式会社です。当サイトでは、自然免疫、マクロファージ、LPSに関する情報と、当社の活動をお伝えします。

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