LPSは細菌の成分って本当?LPSの安全性と他の細菌に及ぼす効果

LPSは細菌の成分であることから、病気の原因となる良くないものだというイメージを持たれることは少なくありません。しかし、実際にはLPSは病気になるどころか健康を維持するために重要な成分です。LPSが細菌とどのように関係しているのかを見てみましょう。

LPSの持ち主、グラム陰性細菌とは

LPSはグラム陰性細菌の体の一部

LPSはグラム陰性細菌という種類の細菌の外膜にある物質です。グラム陰性細菌の体は細胞膜、細胞壁、外膜の3つの層によって覆われており、LPSはそれらのうちもっとも外側にある外膜に埋め込まれるようにして存在しています。

細菌は細胞壁の構造によってグラム陽性細菌とグラム陰性細菌の2種類に分類することができます。グラム陰性細菌には多くの種類がおり、よく知られている有用な菌としてはお酢に含まれる酢酸菌やテキーラの発酵に利用されるザイモモナス菌などが、病原菌としてはコレラ菌やサルモネラ菌などがあげられます。これらすべてのグラム陰性細菌がLPSを持っています。

たとえ病原菌であっても、その身体からLPSだけを取り出した場合、取り出されたLPSが病原菌の特性に由来する病気を引き起こすことはありません。これは、人間が爪を切ったとき、切られた爪に人間の人格が宿ったり意思を持って動き出したりしないのと同じことです。そのため、たとえばサルモネラ菌のLPSを摂取したとしても食中毒になる心配をする必要はありません。

LPSは細菌の体の一部というイメージから「身体に良くないもの」という印象を持たれやすいですが、口から食べたり皮膚に塗ったりしても健康を損なう可能性はない安全な成分だと考えて良いでしょう。

身近にいるグラム陰性細菌とLPS

グラム陰性細菌という名前はあまり聞き馴染みがなく、私たちの日常生活とは関係ないものだと思われやすいです。しかし、実はグラム陰性細菌はごく身近に存在しています。

グラム陰性細菌が多く存在する場所の1つは土壌中です。土壌の細菌は、窒素やリンを植物が栄養として利用できる形に変換するため役立っています。そのため、野菜や穀物、海藻といった植物性食品にはグラム陰性細菌が多く含まれています。食品中に含まれる細菌は加熱などの調理の過程で死んでしまいますが、LPSは壊れずにそのままの形で残っています。したがって、植物性食品を食べることによって人間は日常的にLPSを摂取していることになります。

また、グラム陰性細菌は人間の皮膚や腸内にもいます。皮膚や腸内にはさまざまな細菌が棲んでおり、肌のうるおいを保ったり病原菌から身体を守ったりと、人間にとって有用な効果をもたらしています。

グラム陰性細菌に触れないとアレルギーになりやすくなる

グラム陰性細菌はアレルギーのなりにくさにも関係しています。幼児期にグラム陰性細菌に触れる機会が少なく、その結果グラム陰性菌から出るLPSの摂取量が減少すると、アレルギー疾患を発症しやすくなるという研究結果が報告されています。

また、マウスにスギ花粉を与えて花粉症にさせる実験でも、LPSを与えたマウスはそうでないマウスよりも花粉症になりにくかったという結果が出ています。花粉症もアレルギー疾患の一種であることから、LPSにはアレルギー疾患を発症させにくくする効果があると推測できます。

実際に、花粉症などのアレルギー疾患を持つ人は農村部よりも都市部に多いです。都市部では特に衛生環境が整い、細菌に触れる機会が減少したために、免疫力を十分に活性化させられずアレルギー疾患を引き起こしやすくなっていると考えられています。

LPSが細菌感染に及ぼす効果

免疫力を高めて体内に侵入した細菌を排除しやすくする

LPSは有害な細菌を排除するために有効なことが知られています。その1つが、免疫細胞の一種であるマクロファージを活性化させることです。マクロファージは体内に侵入した細菌などの異物を食べて死滅させるはたらきを持つ、免疫反応において重要な存在です。

マクロファージの表面にはレセプター(受容体)と呼ばれる手のようなものが何種類も存在しています。その中のTLR4というレセプターがLPSをキャッチすると、マクロファージの細胞核にシグナルが伝達されてマクロファージが活性化します。マクロファージの能力が向上することで、より積極的に異物を食べるようになることが期待できます。

体内に侵入した細菌は、体内で増殖して病気を引き起こす可能性があります。クロファージが細菌を排除することで病気になるのを防ぐ効果が得られます。

抗菌物質を作り病原菌を遠ざける

LPSによって小腸で抗菌物質が作られるようになることが明らかになっています。

この抗菌物質は、通常の病原菌はもちろんですが、抗生物質耐性菌に対しても効果があります。

ところで、腸内細菌というのは大腸に多く、小腸には少ししか居ません。なぜかと言うと、大腸のグラム陰性細菌から放出されるLPSが小腸のパネート細胞に届いて抗菌物質を作らせるので、「ここから先は来ないでね」という風に小腸に細菌が上がってくるのを防いでいるのです。

抗生物質の副作用を抑えて悪い細菌が増えるのを防ぐ

感染症にかかって抗生物質を処方されることは珍しくありません。抗生物質は細菌を殺す薬であり、細菌が原因の感染症を治療するために有効です。しかし便利な反面、抗生物質はおなかの調子が悪くなる副作用を引き起こすこともあります。LPSにはこの副作用を軽減する作用があります。

抗生物質によっておなかの調子が悪くなる原因として、抗生物質が腸内にもともと棲んでいる腸内細菌を殺してしまうことがあげられます。腸内細菌はおなかの調子を整えるための重要な役割を果たしており、身体に悪い影響を及ぼす菌の活動を抑えることもその中の1つです。そして、身体に悪い影響を及ぼす菌の中には抗生物質が効かない抗生物質耐性菌もいます。つまり、抗生物質によって必要な腸内細菌が減少してしまい、逆に増えてほしくない抗生物質耐性菌が増殖するのです。これによっておなかのバランスが崩れ、さまざまな症状を引き起こします。

LPSには、弱った腸内細菌の代わりとなって抗生物質耐性菌を抑える成分(上述の生体内抗菌物質)を作るはたらきがあります。そのため、抗生物質と合わせてLPSを摂取することでおなかの調子が悪くなるのを防ぐ効果が期待できます。

LPS活用事例

LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。

やさしいLPS編集部

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やさしいLPS編集部

食用植物に共生するパントエア菌由来の“免疫ビタミン”LPSを提供する自然免疫応用技研株式会社です。当サイトでは、自然免疫、マクロファージ、LPSに関する情報と、当社の活動をお伝えします。

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