コロナに効く薬はある?日本で使える治療薬とワクチンの開発状況

新型コロナウイルスが世界的に流行し、多くの人を苦しめています。早くこの状況が収束してほしいと多くの人が考えていますが、そのためにはコロナに効く薬が必要です。現在の開発状況がどうなっているのか、またそれらは日本でいつ使えるようになるのかを見てみましょう。

新型コロナウイルスはどんなウイルス?

コロナウイルスとは

新型コロナウイルス 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす
SARSコロナウイルス 重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こす
MERSコロナウイルス 中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こす
その他4種類のコロナウイルス 風邪など軽度の症状を引き起こす

新型コロナウイルスとはコロナウイルスが変異したものです。

人に感染するコロナウイルスは、新型コロナウイルスを含めてこれまでに7種類の存在が確認されています。うち4種類は風邪など軽度の症状を引き起こすウイルスです。残りの2種類は重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)をそれぞれ引き起こすウイルスで、これらは過去に流行し重度の肺炎をもたらすとして危険視されました。なお、SARSやMERSを治療するための薬はこれまで開発されていません

コロナウイルスは目や鼻、口などの粘膜から体内に入り込んで感染します。新型コロナウイルスは、SARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスより致死率は低いものの感染力が比較的高いという特徴があります。

新型コロナウイルス感染症とは

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は新型コロナウイルスが原因となって起こる感染症です。発熱やのどの痛み、咳が長引くといった症状が見られることが多いです。

多くの人は感染しても無症状あるいは軽症にとどまりますが、中には症状が悪化する人もいます。重症化すると肺炎を発症し、呼吸が苦しくなったり息切れや胸の痛みなどがあらわれます。特に高齢者や基礎疾患のある人は重症化しやすい傾向にあり、注意が必要です。

コロナに効く薬の種類

コロナに効く薬はまだない

2020年8月時点では、新型コロナウイルス感染症の特効薬と言える薬はまだありません。国内ではレムデシビルとデキサメタゾンが新型コロナウイルス治療薬として認められていますが、使用できるのは重症患者に限られており、広く使える特効薬とは言えない状況です。

そのため、現在の感染者が主に受けている治療は、ウイルスそのものを倒す目的の治療ではありません。熱や痛みを緩和するための薬、水分・栄養補給を目的とする点滴、重症化した肺の代わりとなって呼吸を助ける体外式模型人工肺(ECMO)の利用などが中心となっています。

他の病気の治療薬を流用する方向性が主流

新型コロナウイルスの特効薬となる新薬の開発があちこちで進められていますが、それらはすぐに利用できるようになるわけではありません。一般的に、新薬の開発には10年以上かかると言われています。薬は人間の身体に大きく影響を与えるものであり、一歩間違えればかえって健康を損なうことにもなりかねません。そのため、安全で確実な薬になるよう厳重な試験や審査が何度も行われるのです。

しかし、今現在も新型コロナウイルス感染症の患者は増え続けています。新薬の登場を10年も待っていられる状況ではとてもありません。そこで、すでに他の病気の治療薬として認められている薬の中から新型コロナウイルス感染症に有効なものを見つけて流用しようとする流れが大きくなっています。

もちろん、新型コロナウイルス感染症を想定して作られた薬ではないため、その効果を慎重に確認した上で使用を検討することは重要です。それでもなお、すでに薬としての安全性が確認されていることから、新薬開発を待つより早期に利用が可能になるものと期待されています。

コロナ予防のためのワクチンも開発が進んでいる

新型コロナウイルス感染症にかかってしまった時のための治療薬が必要とされる一方で、そもそも感染しないようにするためのワクチンを求める声も決して小さくありません。ワクチンが普及すれば感染症の拡大を防ぐことができ、世界的な流行の収束に近づくことが期待できます。治療薬と同様に、ワクチンも実用化に向けて世界中でさまざまな種類のものが研究されています。

コロナに効く可能性がある薬

レムデシビル

レムデシビルは日本で初めて製造販売が承認された新型コロナウイルス感染症の治療薬です。もともとはエボラ出血熱の治療薬として開発中でしたが、新型コロナウイルスの増殖を抑制する効果があるとされて2020年5月7日に日本での製造販売を特例承認されました。実際に、レムデシビルを処方した患者で新型コロナウイルス感染者の死亡リスク低下症状の改善効果治療期間短縮効果が確認されたとの報告もあります。

ただし、レムデシビルは開発中の薬であったため、副作用がまだ十分に明らかになったとは言えない等の不安も残っています。日本では重症患者に限りレムデシビルを使用することができます

レムデシビルにはウイルスが自分の遺伝子を複製するのを防ぐはたらきがあることが明らかになっています。これにより体内でのウイルス増殖を防止する効果が期待できます。

デキサメタゾン

デキサメタゾンは2020年7月21日に公開された厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」にて、「日本国内で承認されている医薬品」の項目に追加されました。国内では2つ目の正式な新型コロナウイルス感染症治療薬となります。

イギリスで実施された臨床試験により、デキサメタゾンによって重症患者の死亡率を下げる効果が得られたことなどを受けて使用が推奨されるようになりました。ただし、呼吸補助の必要がない軽症患者に対しての有効性は確認されていません。レムデシビルよりも安価で流通量が多く、新たな治療の選択肢として期待できます。

デキサメタゾンはステロイド薬であり、体内で作られる副腎皮質ホルモンの代わりとなってはたらきます。新型コロナウイルス感染症に対しては、新型コロナウイルスが原因となって引き起こされる肺の炎症を抑える効果があるものと考えられています。もともと重症感染症に対しても有効とされていたため、レムデシビルのように特例承認を受けなくとも新型コロナウイルス感染症の患者に対して使用が可能です。

アビガン

アビガンはもともと新型インフルエンザの治療薬です。レムデシビルと同様にウイルスの遺伝子が複製されるのを防ぎ、ウイルスの増殖を防止する効果があるとされています。ただし動物実験で胎児に奇形が生じる可能性があることが確認されたため、一般的には使用されません。タミフル等の一般的なインフルエンザウイルス薬が効かないような新型インフルエンザが発生したときにのみ、妊婦を除く患者に対して特別に利用することを想定されています。

アビガンは新型コロナウイルスの治療薬として日本国内で最初に注目を集めました。しかし、重症患者に対しての効果は薄いとする報告や、統計的に有意な差が確認できなかったとの報告も発表されています。アビガンが本当に新型コロナウイルスに対して有効なのかについては現在も検証が進められています。

イベルメクチン

イベルメクチンも臨床研究が進められている薬の1つです。もともとは寄生虫を駆除する薬であり、寄生虫が原因となる感染症を治療するために利用されています。新型コロナウイルスに対しては、培養細胞を使った実験で、新型コロナウイルスの増殖を抑える効果があるとの報告があります。

イベルメクチンには2つの効果があると考えられています。1つはウイルスが細胞核内に侵入するのを防ぐ効果です。人間の細胞では、細胞核内にものを輸送するインポーチンというタンパク質が働いています。このインポーチンのはたらきを抑えることで、ウイルスがインポーチンにくっついて細胞核内に入り込むのを防止します。

もう1つは、複製されたウイルスの遺伝子をもとに新たなウイルスの体が作られるのを防ぐ効果です。体が作られなければウイルスとして機能することができないため、治療効果を得られるのではないかと期待されています。

ナファモスタット・カモスタット

ナファモスタットとカモスタットには膵臓のタンパク質分解酵素のはたらきを抑えるはたらきがあり、膵炎の薬として利用されています。新型コロナウイルスに対しては、人間の細胞膜とウイルスの外膜とが融合してウイルスが細胞内に侵入するのを防ぐ可能性があるとされています。

カモスタットは現在臨床試験が進んでいます。ナファモスタットも2021年3月までに臨床試験を開始できるよう、その前段階となる研究が現在進められています。

シクレソニド

シクレソニドは気管支喘息の治療薬です。培養細胞を使った研究により、新型コロナウイルスのはたらきを弱める作用があることが確認されています。

また、シクレソニドには新型コロナウイルス感染症により引き起こされる肺炎を抑制する効果も期待されています。新型コロナウイルス感染症による肺炎の原因として、肺の内部で新型コロナウイルスが増殖し、免疫細胞が過剰に活性化されることによって炎症が引き起こされると考えられています。シクレソニドには免疫細胞の活動を抑制する効果があるとされており、肺炎の治療薬としても利用できる可能性があります。

トシリズマブ

トシリズマブは関節リウマチなどに対して使用される薬です。スイスのロシュ社ではトシリズマブの臨床試験を実施していましたが、統計的に有意とされる効果が得られなかったことを2020年7月29日に発表しています。今後は他の治療薬と組み合わせての研究などが行われる予定です。

トシリズマブには新型コロナウイルス感染症による肺炎の症状を抑える効果があるのではないかと期待されています。新型コロナウイルス感染症を発症すると、ウイルスに対抗するため肺の免疫細胞が暴走し、それによって炎症が引き起こされると考えられています。このとき、免疫細胞では他の細胞をはたらかせるためのシグナルとなる物質が大量に作られます。トシリズマブは、シグナルの中でも特に多く作られるインターロイキン-6という物質のはたらきを抑制する効果があるとされており、これが細胞のはたらきを抑えて肺炎の症状を和らげる効果につながるのではないかと考えられています。

開発中のコロナワクチン

ファイザー製ワクチン

2020年7月31日、アメリカのファイザー社とドイツのBioNTech社が共同開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、臨床試験に成功し承認を得られれば2021年6月までに6千万人分を日本に供給することで合意したとの発表がありました。

ファイザーで開発されているのはBNT162 mRNAワクチンと呼ばれるものです。mRNAとはタンパク質の設計図のようなもので、mRNAを体内に投与すると、それを元にして体内で少量のタンパク質が作られます。BNT162 mRNAワクチンは新型コロナウイルスが持つのと同じタンパク質の設計図を人間に投与するものです。ここではイラストの流れに沿ってBNT162 mRNAワクチンの作用を紹介します。

  1. BNT162 mRNAワクチンを投与します。
  2. 体内でmRNAの設計図に応じたタンパク質(新型コロナウイルスが持つのと同じもの)が作られます。
  3. できあがったタンパク質は体内で異物と認識され、免疫反応を引き起こします。タンパク質を排除するための武器として抗体が作られます。
  4. その後、実際に新型コロナウイルスが体内に侵入すると、抗体によりウイルスを攻撃して感染症の発症を防ぎます。

アストラゼネカ製ワクチン

2020年8月7日、アストラゼネカ社日本法人との間で、同社が新型コロナウイルス感染症ワクチン開発に成功して承認が得られた場合、2021年初頭から日本へ1億2千万回分のワクチンを供給するとの内容で合意したことが発表されました。このうち3千万回分は2021年3月までに供給できる見通しとされています。

アストラゼネカはイギリスのオックスフォード大学と共同でウイルスベクターワクチン「AZD1222」を開発中です。ウイルスベクターとは、ウイルスを利用して細胞内で目的のタンパク質を作らせるためのツールです。イラストの流れに沿ってウイルスベクターワクチンの作用を見てみましょう。

  1. 病原性がごく低いウイルスの遺伝子を操作して、ウイルスに特定のタンパク質(ここでは新型コロナウイルスが持つのと同じタンパク質)の設計図を持たせます。
  2. ワクチンとしてウイルスを投与します。
  3. ウイルスが体内でタンパク質を作ります。タンパク質は体内で異物と認識され、抗体を作るなどの免疫反応を引き起こします。
  4. その後、実際に新型コロナウイルスが体内に侵入すると、抗体によりウイルスを攻撃して感染症の発症を防ぎます。

ワクチンの国内生産へ向けた動きも

このほか、ワクチンを国内で生産するための動きもあります。2020年8月7日、国内でのワクチン生産体制を早期に整えることを目的として、厚生労働省から現在ワクチンを開発中の武田薬品工業、塩野義製薬、アストラゼネカ、アンジェス、KMバイオロジクス、第一三共の6社に合わせて900億円を助成することが発表されました。

このうちアンジェスでは大阪大学と共同でDNAワクチンの開発を進めています。DNAワクチンとは、ウイルスベクターに持たせたのと同じようなタンパク質の設計図(DNA)を、ウイルスに持たせるのではなく裸の状態で投与するものです。mRNAワクチンやウイルスベクターワクチンと同様に、体内の免疫反応を引き起こし実際の感染を防ぐ効果が期待できます。アンジェスのワクチンは既に臨床試験も始まっており、今後の進展が待たれます。

免疫力を上げることも有効

免疫は私たちの身体をウイルスから守るシステム

新型コロナウイルス感染症の特効薬やワクチンが作られるにはもうしばらくかかりそうです。それまでの間、私たちが自分の身を守るためにはどうすればよいのでしょうか。

実は、私たちの身体にはウイルスや細菌などの異物から身を守るためのシステムが自然に備わっています。これを免疫と言います。私たちの身の回りには新型コロナウイルスだけでなくさまざまな病原体が存在していますが、それらの多くに感染せずに済んでいるのは免疫のおかげです。

自然免疫力を高めれば未知のウイルスへの感染を防げるかも

自然免疫
  • 異物を食べる等して反応する
  • 幅広い種類の異物にすばやく反応できる
獲得免疫
  • 異物に合わせて抗体を作り攻撃する
  • 初めて体内に侵入する異物に対して反応するまでには時間がかかる
  • 2回目以降の侵入に対してはすばやく反応でき、効果も高い
  • ワクチンは獲得免疫のはたらきを利用したもの

免疫には自然免疫と獲得免疫の2種類があります。

自然免疫とは、体内に侵入した異物を食べる等して排除するものです。細菌やウイルスなど幅広い種類の異物にすばやく反応できることが特徴です。

一方、獲得免疫とは抗体という武器を作って異物を攻撃するものです。初めて体内に侵入する異物に対して反応するまでには時間がかかるという欠点がありますが、その代わり抗体は異物に合わせてオーダーメイドで作られるため高い効果を発揮するという利点もあります。2回目以降の侵入に対してはすばやく反応できるため、獲得免疫は主に2回目以降の感染を防ぐために役立っています。ワクチンはこの獲得免疫のはたらきを利用したもので、あらかじめ新型コロナウイルスに対する抗体を作っておくことで実際の感染を防ぐことを目的としています。

新型コロナウイルスは、既に感染した人以外にとってはまだ体内に侵入されたことがないウイルスです。未知のウイルスへの感染を防ぐためには、2種類の免疫のうち特に自然免疫がしっかりと機能することが重要になります。

免疫力アップにはLPSが有効

免疫力を高めるとして近年注目されている栄養素があります。名前をLPSといい、自然免疫のシステムにおいて重要な役割を担う細胞であるマクロファージを活性化させる作用を持つことが明らかになっているのです。

マクロファージの細胞表面にはレセプター(受容体)と呼ばれる手のようなものが多数存在しています。このうちTLR4という種類のレセプターがLPSと結合すると、マクロファージの細胞核にシグナルが伝達されてマクロファージが活性化します。

マクロファージには、体内に侵入した異物を見つけ出して食べてしまうはたらきがあります。マクロファージが活性化されれば、異物を食べる能力が高まり、体内に侵入した新型コロナウイルスをすばやく排除できるようになります

LPSはグラム陰性細菌という細菌の細胞壁外膜を構成する成分です。グラム陰性細菌は土壌中に多く存在していることから、根菜や葉野菜、穀物、海藻にはLPSが多く含まれています。これらの食品を積極的に食べることで新型コロナウイルスへの感染を防ぐ効果が期待できます。

LPS活用事例

LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。

やさしいLPS編集部

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やさしいLPS編集部

食用植物に共生するパントエア菌由来の“免疫ビタミン”LPSを提供する自然免疫応用技研株式会社です。当サイトでは、自然免疫、マクロファージ、LPSに関する情報と、当社の活動をお伝えします。

LPSとは?4コマ漫画で解説 arrow_upward